何を借りる? - 金利タイプの選択
住宅ローンの金利タイプは大きく分けて3つあります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況や将来計画に合ったタイプを選ぶことが重要なのです。
固定金利型は、借入時の金利が返済終了まで変わらないため、将来の返済額が確定し、家計の見通しが立てやすいという大きなメリットがあります。金利が上昇しても影響を受けないため、長期的な安心感があるのです。一方で、変動金利と比べて当初の金利が高めに設定されている点や、市場金利が下がっても恩恵を受けられない点はデメリットと言えるでしょう。長期的に安定した返済計画を立てたい方や、将来の金利上昇リスクを避けたい方に適しています。
変動金利型は、市場金利の変動に応じて適用金利が変わるタイプです。固定金利と比較して当初の金利が低いことが最大のメリットですね。ただし、将来金利が上昇した場合は返済額が増えるリスクがあり、家計への影響を考慮する必要があります。金利上昇時には返済額が一定の範囲内に抑えられる「返済額キャップ制」があるものの、返済期間が延びる可能性がある点にも注意が必要だ。当面の返済負担を軽くしたい方や、短期間での繰り上げ返済を予定している方に向いています。
当初固定金利型(固定期間選択型)は、契約当初の一定期間(3年、5年、10年など)は金利が固定され、その後は変動金利に移行するタイプです。固定期間中は返済額が変わらないため計画が立てやすく、かつ固定金利型よりも当初の金利が低めに設定されていることが多いという特徴があります。ただし、固定期間終了後に金利が上昇するリスクがあるため、その時点での市場状況や自身の経済状況に応じた対応が必要になるでしょう。ライフプランに合わせて固定期間を選べるため、「子どもが大学に入るまでは返済額を確定させたい」などの具体的な計画がある方に適しています。
誰が借りる? - 借主の選択
住宅ローンでは、「誰が借りるか」も重要な検討ポイントです。単独で借りる「単独債務」と、複数人で借りる「ペアローン」や「収入合算」といった選択肢があります。
単独債務は、一人で住宅ローンを組む最も一般的な形態です。申込者一人の収入と信用力で審査が行われるため、手続きがシンプルですが、借入可能額は申込者の収入に左右されます。
ペアローンは、例えば夫婦がそれぞれ別々のローンを組み、合わせて一つの物件を購入する方法です。それぞれが債務者となり、二つの異なるローン契約を結ぶ形になります。共働き夫婦で、二人の収入を最大限に活かして借入額を増やしたい場合や、互いの信用情報に不安がある場合に選ばれることが多いです。
収入合算(連帯債務)は、主債務者と連帯債務者が同一のローン契約を結び、両者の収入を合算して審査を受ける方法です。一つのローン契約で手続きが完結するシンプルさがメリットですね。主債務者の収入だけでは希望額を借りられない場合に、配偶者や親族の収入を合算することで借入可能額を増やすことができます。ただし、連帯債務者も主債務者と同等の返済責任を負うことになるため、その点は十分に理解した上で検討する必要があるでしょう。
借主を選ぶ際は、それぞれの収入状況や将来の収入見込み、年齢などを総合的に考慮して最適な組み合わせを検討することが大切だ。また、共有名義で物件を購入する場合は、持分割合についても事前に話し合っておくことをおすすめします。
どこに借りる? - 借入先の選択
住宅ローンの借入先は大きく分けて「フラット35」と「民間ローン」の2つがあり、それぞれに特徴があります。
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する長期固定金利の住宅ローンです。借入期間中、金利が変わらないため返済計画が立てやすく、全期間固定金利を希望する方にはメリットがあるでしょう。また、金融機関独自の審査基準ではなく、住宅金融支援機構の基準で審査されるため、勤続年数が短い方や自営業者でも比較的審査に通りやすいという特徴もあります。
一方で、民間ローンは、銀行や信用金庫などの金融機関が独自に提供するローン商品です。変動金利や固定金利など様々な金利タイプがあり、借り手のニーズに合わせた選択が可能です。また、団体信用生命保険の保障内容や、団信特約など付帯サービスも金融機関によって異なります。金利の低さだけでなく、こうした付加価値も含めて比較検討することが大切ですね。
借入先を選ぶ際は、金利だけでなく、繰り上げ返済の条件、団体信用生命保険の内容、手数料なども含めて総合的に判断するとよいでしょう。また、住宅購入と同時に諸費用や家具購入のためのローンも必要な場合は、住宅ローンと併せて借りられる「諸費用ローン」や「プラスワンローン」を提供している金融機関を選ぶと便利です。
まとめ
住宅ローン選びは、「何を」「誰が」「どこに」借りるかという3つの視点から検討することで、自分に最適な選択ができます。金利タイプは将来の家計への影響を左右する重要な要素。借主の選択は借入可能額や責任の分担に関わる問題。そして借入先の選択は、金利だけでなく付帯サービスや手数料なども含めた総合的な判断が必要なのです。
最適な住宅ローンを選ぶためには、複数の金融機関に相談し、条件を比較することをお勧めします。また、ファイナンシャルプランナーなどの専門家のアドバイスを受けることも、後悔しない選択のためには大切なポイントとなるでしょう。
住宅ローンは長期にわたって返済し続けるものです。目先の低金利だけに惑わされず、ライフプランに合わせた無理のない返済計画を立てていきましょう。