登録免許税とは?
登録免許税は、不動産の登記や抵当権(住宅ローンなどの担保)の登記を行う際にかかる税金です。登記とは、土地や建物などの不動産に関する重要な情報(所在地、面積、所有者など)を国が管理する登記簿に記載すること。この登記を通じて、不動産の所有権や担保権などの権利関係が明確になり、取引の安全が保障されます。
税額の計算方法
登録免許税の税率は、登記の種類や不動産の用途、さらには政策による税率軽減措置の適用有無によって異なります。例えば、居住用の家屋の所有権移転登記や抵当権設定登記にはそれぞれ異なる税率が適用されます。また、新築や一定の条件を満たす中古住宅を取得した場合には、軽減税率が適用されることもあります。
具体的な税率
- 所有権移転登記:不動産を購入した際に行う登記で、通常、建物の固定資産税評価額に基づいて2.0%の税率が適用されます(土地については令和8年3月31日まで1.5%)。
- 抵当権設定登記:住宅ローンの担保として不動産に抵当権を設定する登記で、債権金額の0.4%が税率として課せられます。
- 軽減税率の適用:新築または特定の条件を満たす中古住宅の取得に対しては、軽減税率が適用されることがあり、税率は0.1%から0.3%まで下がることがあります。
軽減税率の適用条件
居住用家屋に対する軽減税率を受けるためには、新築または取得した家屋が一定の条件を満たす必要があります。例えば、家屋の床面積が50㎡以上であること、新築または取得後1年以内に登記を行うことなどが条件として挙げられます。
事例別に見てみよう
ここまで計算方法を見てきましたが、まだピンと来ていない方も多いかと思います。やはりここは具体的な事例を見るのが最もわかりやすいでしょう。以下によくあるケースをピックアップしてどのような計算になるかをまとめてみました。
事例1: 新築一戸建ての購入
田中さんは新築の一戸建て住宅を購入(令和6年1月15日)しました。この家の固定資産税評価額は土地2000万円・建物1000万円です。所有権移転登記が必要になります。
計算式:
土地
- 固定資産税評価額:2000万円
- 税率:1.5%(軽減税率:令和8年3月31日まで)
税額:2000万円 × 1.5% = 30万円・・・①
建物
● 固定資産税評価額:1000万円
● 税率:1000万円×0.3%(居住用家屋の軽減税率)=3万円・・・②
田中さんが支払う登録免許税の合計は①+②=33万円となります。
事例2: 中古マンションの購入と抵当権設定
鈴木さんは築15年の床面積が60㎡の中古マンションを購入(令和6年1月15日)し、住宅ローンを組みました。購入価格は2000万円(固定資産税評価額:土地500万円・建物1500万円)、ローン額は1500万円です。
所有権移転登記の計算:
土地
- 固定資産税評価額:500万円
- :1.5%(軽減税率:令和8年3月31日まで)
税額:500万円 × 0.15% = 7500円・・・①
建物
● 固定資産税評価額:1500万円
● 税率:0.3%(軽減税率:令和6年3月31日まで)※他要件あり
税額:1500万円×0.3%=45000円・・・②
抵当権設定登記の計算:
- 債権金額:1500万円
- 税率:0.1%(軽減税率:令和6年3月31日まで)※他要件あり
税額:1500万円 × 0.1% = 15000円・・・③
鈴木さんが支払う登録免許税は、所有権移転登記(①+②)と抵当権設定登記(③)を合わせて67500円です。
事例3: 相続による土地の所有権移転
佐藤さんは相続により土地を受け継ぎました。この土地の固定資産税評価額は5000万円です。相続による所有権移転登記が必要になります。
計算式:
- 固定資産税評価額:5000万円
- 税率:0.4%
税額:5000万円 × 0.4% = 20万円
佐藤さんが支払う登録免許税は20万円です。
まとめ
登録免許税は、不動産取引や所有権の変更を公に記録するために必要な税金であり、その税率や軽減措置は登記の種類や不動産の用途、さらには特定の条件を満たすかどうかによって異なります。この税金を理解することは、不動産を購入する際や住宅ローンを組む際に非常に重要です。軽減税率の適用を受けるには、取得時期や建物の要件等が細かく決められている為、具体的なことは専門家や税理士に相談しましょう。