建物や住戸が契約どおりに完成したか最終確認
新築物件の場合、引き渡し前に「入居説明会」や「入居手続き会」と呼ばれる機会が設けられます。この機会を利用して、物件が契約どおりに完成しているかをしっかりチェックしましょう。チェックポイントとしては、間取りや設備の仕様、建具の開閉、水回りの動作確認などがあります。
特に注意したいのは、壁や床、天井などの傷や凹み、水栓からの水漏れ、窓やドアの開閉具合など、実際に生活し始めてから発見しづらい不具合です。これらは「内覧チェックシート」などを活用して、漏れなく確認するとよいでしょう。
もし不具合や契約内容との相違を見つけた場合は、その場で不動産会社や建築会社に指摘し、修正を依頼することが大切です。入居後に指摘すると対応してもらえないケースもあるため、この段階での確認は非常に重要となります。
内覧会
内覧会では、実際の住まいを細部まで確認する貴重な機会です。以下のポイントを重点的にチェックしましょう。
見る:壁や床の傷や汚れ、クロスの貼り具合、コンセントやスイッチの位置などをチェックします。自然光の入り方も時間帯によって異なるため、できれば日中の明るい時間に確認するのが理想的です。
聞く:室内の防音性能も重要なポイントです。窓を閉めた状態で外部の騒音がどれくらい聞こえるか、また、水を流したときの配管音などもチェックしておくとよいでしょう。
触る:ドアや窓、水栓、スイッチなどの操作感を確認します。スムーズに動作するか、違和感はないかをチェックしましょう。
嗅ぐ:新築特有のにおいは通常のことですが、異様に強い化学物質のにおいがする場合は、シックハウス症候群の原因となる可能性もあるので注意が必要です。
アフターサービスやメーカー保証の内容についても、この機会に詳しく確認しておきましょう。保証期間や保証対象範囲を理解しておくことで、将来的な不具合にも適切に対応できます。
オプションの選択や引越しについても相談を
内覧会では、オプション工事や追加設備の相談をすることもできます。例えば、エアコンの取り付け、カーテンレールの設置、インターネット回線の引き込みなど、入居前に完了させておきたい工事がある場合は、この段階で相談するとスムーズです。
また、引越しの日程調整も重要なポイントです。実際の引き渡し日と近い日程で引越し業者を手配しておく必要があります。特に人気の引越しシーズン(3月〜4月)は業者が混み合うため、早めの予約をお勧めします。
引越し業者を選ぶ際は、複数の会社から見積もりを取り、サービス内容と価格を比較検討するとよいでしょう。また、エレベーターや駐車場の利用制限、マンションの場合は共用部分の養生ルールなども確認しておく必要があります。
入居説明会
入居説明会は、実際に住み始めるにあたっての重要な情報を得る機会です。ここでは以下のような事項について説明があります。
オプションの選択:カーテンやエアコン、照明器具など、入居時に必要なオプション工事の申し込みを行います。開発業者や不動産会社と提携している業者があれば、通常よりもお得な価格で利用できる場合もあります。
引越しについて:入居可能日や引越し作業の注意点(時間制限、エレベーター利用ルールなど)が説明されます。マンションの場合は、他の入居者との引越し日の重複を避けるための予約システムがある場合もあります。
アフターサービス:入居後のサポート体制や、万一不具合が生じた場合の連絡先、保証内容などが説明されます。特に重要な連絡先はスマートフォンに登録するなど、すぐに確認できるようにしておくとよいでしょう。
管理規約の確認:マンションの場合は、管理規約や使用細則などの詳細な説明があります。ペットの飼育条件、騒音に関するルール、ゴミ出しのルールなど、実際の生活に直結する内容をしっかり確認しましょう。
引き渡し
いよいよ物件の引き渡しの日を迎えます。引き渡しでは、以下のようなことが行われます。
鍵の引き渡し:実際の鍵が手渡されます。マスターキーや共用部分の鍵、メールボックスの鍵なども含まれていることを確認しましょう。また、スペアキーの作成方法についても確認しておくとよいでしょう。
設備の使用方法の説明:給湯器やエアコン、インターホンなど、住戸内の設備の使用方法について説明があります。取扱説明書も併せて保管しておくことをお勧めします。
各種手続きの案内:住民登録、水道・ガス・電気の開栓手続き、インターネット接続の申し込みなど、入居に際して必要な手続きについての案内があります。できるだけ早めに手続きを済ませておくと安心です。
引き渡し時には、最終的な物件の状態を確認するため、再度内覧を行うこともあります。前回の内覧時に指摘した不具合が修正されているかどうかを確認し、その場で引き渡し完了の書類にサインをすることになります。
鍵の引き渡しを受けたら晴れて所有者に
物件の鍵を受け取り、所有権移転登記が完了すれば、晴れて新しい住まいの所有者となります。所有権移転登記は一般的に売主側の司法書士が行いますが、進捗状況を確認しておくことも大切です。
また、住宅ローンの実行手続きも、この段階で行われます。金融機関から売主に代金が支払われ、住宅ローンの返済が始まることになります。返済開始日や返済方法について再確認し、滞りなく返済していくための家計管理を始めましょう。
所有者となった後は、固定資産税や都市計画税などの税金の納付義務も発生します。初年度は日割り計算される場合もありますので、詳細は自治体の税務課に確認するとよいでしょう。
まとめ
契約後から入居までのプロセスは、新生活へのカウントダウンとも言える重要な期間です。内覧会で物件の状態をしっかりチェックし、入居説明会で必要な情報を収集し、滞りなく引き渡しを完了させることで、安心して新生活をスタートすることができます。
各段階で不明点があれば、遠慮なく不動産会社や建築会社に質問することが大切です。また、引越し準備や各種手続きは計画的に進めることで、入居時のトラブルを避けることができます。
マイホームを手に入れるという大きな夢を実現した喜びを胸に、新しい住まいでの生活を存分に楽しんでください。契約後の一連の流れを理解し、適切に対応することで、住み始めてからも快適な生活を送るための基盤が整います。